アニメ映画”HUMAN LOST 人間失格”は大胆な解釈と再構築がキーポイントのアニメーション!あの名作がまさかのSFエンタテインメントとして復活!?

HUMAN LOST 人間失格

人間失格とはどういう話?

”人間失格”は小説家・太宰治氏による中編小説。

 

 

「私は、その男の写真を三葉、見たことがある」というはしがきから始まるこの作品は、1948年5月に脱稿しました。

ある男の、無邪気さを装って周囲を欺いた少年時代や、幾人もの女性と関わりを持ち、自殺未遂を繰り返しながら薬物に手を染めていく様子など、陰惨な過去を本人の視点で描く本作。

 

雑誌「展望」に3回に渡って掲載された”人間失格”は、最終回掲載直前に太宰治氏が自ら命を絶ったこと、その内容が同氏の半生をなぞっていると思われる部分が多かったことから、自伝であり遺書でもあると位置づけられています。

 

センセーショナルな内容であるためか、またその直接的過ぎるタイトルのためか根強いファンも多く、累計発行部数は新潮文庫版だけでも670万部を超えるほど。

後の世に与えた影響は大きく、ドラマ、アニメ、音楽バンド、ライトノベルシリーズと広い分野で”人間失格”へのオマージュが取り入れられた作品やフレーズが存在します。

 

また2010年には太宰治生誕100年を記念し、実写映画化もされています。

 

生田斗真氏主演のこの映画版では原作をなぞりつつ、井伏鱒二(代表作・山椒魚など)や中原中也(代表作・山羊の歌など)といった他の文豪も登場するなど、こちらも好評を博しました。

 

映画”HUMAN LOST 人間失格”はどんな内容?

映画”HUMAN LOST 人間失格”は太宰治氏の”人間失格”をベースにしてはいますが、そのストーリーは大胆に解釈・再構築されており、既存のイメージをぶち破ったものとなっています。

 

主人公は大庭葉藏。

時は昭和111年。

医療革命と労働改革によって長寿大国となった日本が舞台です。

人々は体内にナノマシンを埋め込まれており、ネットワーク「S.H.E.L.L.」によって管理されています。

大気汚染と貧困が蔓延する東京で、大庭は原作と同じく薬物に溺れた生活を送っていました。

 

彼はある日、暴走集団とともに特権階級が住まうという環状7号線内”インサイド”へ突貫し、激しい闘争に巻き込まれてしまいます。

そこで”ロスト体”と呼ばれる異形の存在に遭遇した葉藏は不思議な力を持った女性”柊美子”に命を救われ、彼もまた特殊な能力を得ることに。

暴走集団に薬をばらまき、ロスト体を生み出していたのは、葉藏や美子と同じく特殊な能力を持つ”堀木正雄”という男でした。

 

彼が言うには進み過ぎた現代社会において、全ての人間は”失格である”とのこと。

その社会を壊すべく行動する堀木正雄。

その社会を再生すべく戦う柊美子。

平均寿命が120歳となった歪な社会を前に、大庭葉藏はどんな選択をするのか?

そしてその選択の結果は――?

 

このようにあらすじを見るとほとんど別作品のように感じますが、共通点も随所に見られます。

まず登場人物名が原作と同じであること。

大庭葉藏はもちろん、堀木正雄は原作でも重要な位置にある人物です。

主人公・大庭葉藏が薬物中毒である点は原作通り。

 

 

そして原作では大庭葉藏に酒やたばこ、薬物などを教えたのは堀木正雄でしたが、この人間関係も準拠しています。

特殊な能力を得たのは柊美子に出会ったことがきっかけですが、大庭葉藏が堀木正雄から何かを得る、という構図は踏襲されています。

一方で大きく変わっているのは世界観。

敢えて年代を”昭和111年”と表記したのはこの物語があくまで原作”人間失格”から続く世界である、ということの暗示でしょう。

SFらしくナノマシンやAIが登場し、人間が管理されている社会というのも近未来的です。

また無病長寿や労働政策といった、けして夢物語ではなく現代に横たわる社会の問題や構造を織り交ぜた設定には不気味なリアリティもあります。

薬物というのも切り離せないテーマのひとつでしょう。

 

JITO on Twitter
“@retoro_mode 「覚せい剤」やめますか それとも「人間」やめますか”

 

かつて『覚せい剤やめますか?  それとも人間やめますか?』というキャッチコピーが流行した時代がありました。

この”人間をやめる”を”人間失格”に置き換えると、”HUMAN LOST 人間失格”にこれほど当てはまるものはないだろうという要素が浮かび上がってきます。

つまり異形の存在”ロスト体”です。

ロストには脱落、失格といった意味がありますから、この異形の存在そのものが”人間失格”と捉えることもできるでしょう。

太宰治氏の代表作のひとつに挙げられる”人間失格”。

インスパイアされた作品は数多くあれども、SFにアレンジしたものはこれまでありませんでした。

しかし人間としての在り方、生と死についての考え方など、主人公・大庭葉藏と彼を取り巻く重厚なテーマ性はいささかも失われていません。

独自の解釈と大胆な再構築がなされたアニメ映画”HUMAN LOST 人間失格”は2019年11月29日公開です。

まずは原作を読んでから劇場に足を運ばれてはいかがでしょうか?

 

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